今回はステロイドカバーについて勉強していこうと思います!
日常診療でステロイドカバーが必要となる症例はそれほど多くないかもしれませんが、
「そもそもステロイドカバーってなんでいるの?」
「どれくらい内服していたら必要になるの?」
「ステロイドカバーの投与量はどうすればいいの?」
など麻酔科として知っておきたい事がいくつかあります。
今回は、
ステロイドカバーが必要となる理由から、
実際の周術期のステロイド補充方法まで
勉強していきたいと思います。
それでは早速みていきましょう!
ステロイドカバーとは
コルチゾールの分泌低下の原因としては以下のものが考えられます。
①原発性副腎不全
副腎自体の機能低下のため、コルチゾールやアルドステロンの分泌低下
例)アジソン病や先天性副腎過形成症など
②続発性副腎不全
下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌不全によるコルチゾールの分泌低下
例)下垂体腫瘍、外傷、手術など
③三次性副腎不全
視床下部からの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)分泌不全や、慢性的なステロイド使用のため視床下部-下垂体-副腎系の抑制によりコルチゾールの分泌低下
例)慢性ステロイド内服・点鼻・吸入など
これらの原因により、
本来手術中に分泌されるべきコルチゾール分泌が不十分になると、
急性副腎不全となりショックをきたす可能性があるため、
周術期に手術侵襲に応じてステロイドを補充する必要があります。
それが周術期の『ステロイドカバー』と呼ばれるものです。
ステロイドカバーが必要な症例
どのような症例でステロイドカバーが必要になるのでしょうか。
麻酔科としてステロイドカバーが必要となる状況としては、
③三次性副腎不全
のうちの、
慢性ステロイド内服
が多いのではないかと思います。
ただ、ステロイドを内服している症例すべてでステロイドカバーが必要ではありません。
プレドニゾロン換算で4~5mg/日を超える量を3~4週間以上使用している場合
には、副腎機能抑制の可能性を考慮して
ステロイドカバーをする目安にしていることが多いです。
ただ、投与量や投与期間だけで一律に判断できるわけではなく、
ステロイドの種類や投与経路、患者背景なども考慮する必要はあります。
なので、
手術前にステロイドを使用していることがわかった場合は、
ステロイドの用量、使用期間
副腎クリーゼの既往の有無
を確認することが重要になります。
ステロイドカバーの実際
では、実際にステロイドカバーが必要な症例に遭遇した時に、
どうすればいいかを学んでいきましょう。
侵襲の大きさによって必要となるグルココルチコイド補充量が異なるため、
周術期のステロイドカバーの量は、
手術の内容(侵襲の大きさ)によって決めることになっています。
| 侵襲度 | 術中ステロイド補充 | 術後ステロイド補充 |
| 大手術 帝王切開 | 麻酔導入時に ヒドロコルチゾン100mg iv その後直ちに ヒドロコルチゾン200mg/日 を持続静注開始 | ヒドロコルチゾン200mg/日 を持続静注 または 50mg ivを6時間ごとに投与 回復したら 術前の経口維持量の2倍を 48時間内服 その後漸減する |
| 中等度手術 体表面の手術 | 麻酔導入時に ヒドロコルチゾン100mg iv その後直ちに ヒドロコルチゾン200mg/日 を持続静注開始 | 術前の経口維持量の2倍を 48時間内服 以降は通常量へ戻す |
| 分娩 経膣分娩 | 分娩開始時に ヒドロコルチゾン100mg iv その後直ちに ヒドロコルチゾン200mg/日 を持続静注開始 または 100mg筋注後に 50mg筋注を6時間ごとに投与 | ー |
※成人を対象とした一例です。実際の投与方法は、ステロイドの種類・投与量・投与期間、手術侵襲、施設のプロトコルなどによって異なります。
施設によって投与方法は異なりますが、周術期のステロイド補充としてはこのような方法が用いられます。
まとめ
以上、今回はステロイドカバーについて勉強していきました!
ステロイドを使用している患者さんを担当したときには、
「この患者さんは副腎機能が抑制されている可能性があるのか?」
という視点を持つことが大切です。
その判断には、
ステロイドの種類や投与量、投与期間、投与経路などを確認する必要があります。
「ステロイドを内服している」という情報を見つけても、
そこからさらに「ステロイドカバーが必要な症例なのか」というところまで考えがいき、
適切に判断できるようになったら
麻酔科として一歩成長できるような気がします。
日々の診療で「あれ、これどうするんだっけ?」となったときに
この記事を見返してもらえるように、
これからも気になったことを少しずつ記事にしていこうと思います。
ではでは〜


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