周術期(術前、術中、術後)における出血で問題となるのは、主に術中出血と術後出血です。
術中出血
術中出血は、文字通り「手術中に起きる出血」です。
胃を切る、腸を切る、胆嚢をとるなど、何かの臓器を切除する時には、その臓器を栄養している血管を切離せざるを得ません。
手術で血管を切る際、細くて血流が少ない血管であれば、医療用の機械(超音波凝固切開装置やベッセルシーリングシステムなど)で止血しながら切離します。
血管がある程度太いもしくは血流が豊富である場合は、糸で結紮して切離します。
血管によっては細いのに血流がとても豊富な血管もあり、結紮しているときの少しの緊張でちぎれてしまい、多量に出血してしまうこともあります。
出血しやすい、出血したときに多量に出血することが想定される臓器、血管、部位については細心の注意を払いますが、どうしても出血してしまうことはあります。
術中の出血はあらゆる方法を用いて何とかして止血しますが、その時の出血量によっては輸血や血液製剤が必要になることもあります。
術後出血
上記のように、術中に起きた出血に関してはその場で止血することができます。
術後出血は、手術中(正確には閉腹した時点)では出ていなかった部位から、術後に出血してくることを言います。
凝固止血したところ、結紮したところ、術中には全然出血なんてなかったところなどから、術後に出血してきてしまうことがあります。
術中に出てくれれば止血できたのに、、、という気持ちになります、、
腹腔内の出血はどれだけおなかを圧迫しても圧迫止血ができません。
そのため、出血が持続的に続く場合は、再手術で止血するか、血管内カテーテルで出血している血管を詰めることになります。
最後に
術中、術後出血は誰にでも起きうる可能性がありますが、ステロイドを内服していて組織が弱い方は出血しやすかったり、化学療法(抗がん剤)中やもともと血小板が少ない方では、出血しやすく、出血が止まりに傾向にあります。
また、抗血小板薬や抗凝固薬などのいわゆる「血液をサラサラにする薬」を内服している方もやはり出血リスクは高いです。
抗血小板薬や抗凝固薬は術前に休薬することでリスクを軽減させられるため、術前の休薬指示を確認してください。
コメント