小児麻酔が担当になるたび指導医の先生に
「今日の子の挿管チューブの太さこれでいいですか?」とか
「バッグの大きさ、人工鼻のサイズどうしましょう?」など
色々なデバイスのサイズなどを聞くことが多いのですが、
自分で自信をもって判断できるようになりたいと思っていました。
「これくらいの顔の大きさの子にはこのサイズだな」って
反射的に判断できるようになるには
ある程度の数をこなす必要があると思いますので
まずは教科書的に体格や年齢別の基準を理解して、
最初は考えながら決めて覚えていくのが近道かなって思ってます。
一度しっかり勉強して知識を定着させるとともに、
教科書が手元になくてもすぐに見返せるように
今回記事にまとめてみようと思いました!
ではさっそく学んでいきましょう!
あくまで私が勤務している施設での基準で記載していくので
各施設で採用している製品によっては多少ずれるところがあると思います。
あくまで参考までにお願いします。
蛇管の大きさ
蛇管は麻酔器と患者をつなぐ蛇腹のチューブのことです。
蛇管は成人用と小児用があり、長さも種類があります。
成人用の蛇管は小児用よりもチューブの径が大きいため、
一回換気量の少ない小児症例で使うと
呼気のCO2が再吸入されやすくなったり
回路コンプライアンスが高くなり吸気圧がかかりにくくなったり
死腔が増えたり
色々と問題が起きてしまいます。
麻酔器から患者までの距離によって適切な長さのものを選択し、
(蛇管によっては伸縮可能のタイプもあります)
私の勤務している病院では
体重が30kg以下の症例では小児用の蛇管を使用するようにしています。
バッグのサイズ
手もみで換気するときのバッグのことです。
バッグのサイズは0.5L、1L、2L、3Lがあります。
0.5L … 早産児を含む新生児まで
1L … 2~3歳くらいまで
2L … 10歳くらいまで
3L … それ以上
年齢で分けるなら上記のような感じですが、
10kgで1L、20kgで2Lという目安もあります。
一回換気量が体重あたり約6~8mLなので、
その10倍くらいのサイズで考えてもいいかもしれません。
バッグのサイズがあまりに小さいと一回換気量が適切に保てませんし
あまりに大きいと自発呼吸をバッグ越しに手で感じにくくなったります。
人工鼻のサイズ
人工鼻の役割は、
吸気の加湿による気道粘膜保護
体温保持
分泌物による気管チューブ閉塞の防止
などがあります。
人工鼻も一回換気量によってサイズを決めており、
適応される一回換気量が製品ごとに記載されているので
それを見て決めています。
早産児や新生児などは換気量が小さく
少しの死腔でも大きく影響してしまいますので、
スリップジョイント(挿管チューブの接続部)を外して
人工鼻をチューブに直接装着する製品もあります。
マスクのサイズ
麻酔器のフェイスマスクにもいろいろ種類があって、
ラテックス、シリコン、ポリ塩化ビニルなどがあります。
慣れた素材のものを使用すればいいと思いますが、
患者の顔の形にフィットしやすいように空気の部分を調整できるものや
ストラップで固定できるフック付きのものが
個人的には便利かなと思います。
マスクのサイズは
患者の口と鼻が過不足なく覆えるサイズがいいので、
患者が手術室に入ってきてから袋越しに顔に当ててみて
大まかにサイズを確認してから開封すると
「とりあえずこのサイズのマスク開けちゃったけどサイズが合わなかった」
という少し残念なことになりにくくなります。
喉頭鏡のブレードのサイズ
小児症例で使う喉頭鏡のブレードは
直型(ミラー型)、弯曲型(マッキントッシュ型)があります。
だいたいの目安としては、
直型0 … 早産児、低出生体重児
直型1 … 1歳くらいまで
曲型1 … 1~2歳くらいまで
曲型2 … 10歳くらいまで
曲型3 … それ以上、成人
といった感じでしょうか。
最近ではビデオ喉頭鏡が主流になりつつありますが、
McGRATH MACのブレード選択は上記の弯曲型とだいたい一緒と
考えて大きく外れることはないんじゃないかと思います。
多少のサイズ違いがあっても喉頭展開できることが多いですが、
できなかった時のことを考えると、
想定しているサイズの1サイズ上下も傍に待機させておくと安心です。
挿管チューブはカフあり?カフなし?
8歳くらいまでの症例では
カフありチューブ、カフなしチューブどちらも選択可能です。
カフあり/なしチューブのメリットとデメリットを見てみましょう。
| カフあり | カフなし | |
| メリット | ・高い気道内圧をかけられる ・正確にETCO2モニタリングができる ・誤嚥のリスクを減らせる ・肺コンプライアンスの変化に対応できる ・チューブが多少細くてもカフで調整可能 | ・気道粘膜損傷のリスクが低い ・挿入長の安全域が広い ・カフありチューブよりチューブが太い →気道抵抗が低くなる、吸引が容易 |
| デメリット | ・カフ圧計でカフ圧の測定が必要 ・カフによる気道粘膜損傷の可能性 ・挿入長の安全域が狭い (声帯部でカフを膨らまさない) ・カフなしチューブよりチューブが細い →気道抵抗が高くなる、吸引が困難 | ・高い気道内圧は難しい ・ETCO2モニタリングが不正確 ・誤嚥のリスクが高い ・肺コンプライアンスの変化に対応困難 ・適したチューブの太さが必要 →サイズ交換時に喉頭展開が必要 |
脳外科手術、開心手術、腹腔内圧が高くなる腹腔鏡手術、長時間手術などでは
カフありチューブの方がメリットが大きいと考えられますが、
それぞれのメリット・デメリットを踏まえて
手術の内容や手術時間によってリスクの低い方を選択しましょう。
挿管チューブのサイズ、深さ
挿管チューブのサイズ、挿入長は基本となる計算式があるので
これを覚えておくと便利です。
☆挿管チューブサイズ(I.D. mm)☆
カフありチューブ … 3.5 + 年齢/4
カフなしチューブ … 4.0 + 年齢/4
☆挿管チューブ挿入長(cm)☆
5 + 身長/10 または 12 + 年齢/2
カフありチューブ挿入後の確認方法
①カフを虚脱させた状態で気道内圧20~30cmH2O以下でリークがあることを確認
②リークがなければサイズを1サイズ下げる
③カフは20~30cmH2Oの圧になるように膨らます
④この状態でリークがないか、許容範囲内であればOK
カフなしチューブ挿入後の確認方法
①声帯、輪状軟骨部の通過時に抵抗がないことを確認
②気道内圧20~30cmH2Oでリークがあることを確認
③リークがなければ1サイズ下げる
④換気量が不十分でないくらいのリークになればOK
挿管チューブのサイズは
同じ年齢でも身体の大きさが全然違うこともありますし、
個人差がけっこう大きいので
想定したチューブサイズの1サイズ上下も準備しておくと安心です。
挿管チューブの挿入長は概ね上記の深さで問題ないことが多いですが、
最終的な判断は
喉頭展開してチューブを挿入したときの声門とカフの位置関係や
チューブ挿入後に聴診して両肺で換気できているかを
確認するのが大事です。
体位変換したり、頸部の伸展や屈曲をした時には
チューブ位置の少しの変化で換気に影響が出る可能性があるので、
換気に何か異常があった時には術者に報告して
手術を止めてでもチューブ位置の確認をしてもいいと思います。
最後に
今回は小児麻酔で使用する麻酔関連の道具について学んでいきました。
一般的には
小児より成人麻酔の方が慣れてるという方が多いんじゃないかと思いますし、
私も件数的には小児麻酔の方が圧倒的に少ないので
いつも小児麻酔の担当になると準備から大変な思いをしています。
毎回考えながらやっていったら
いつしか考えなくても準備できるくらいになると信じて
今はがむしゃらにやっていこうと思っていますし、
この記事が同じ悩みを抱える方の役に立てれば嬉しいです。
また自分の不安や困ったことは
記事にして勉強していこうと思ってますので、
少しずつ成長していきましょう!
ではでは~


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