麻酔科医が外科医に求めること

今回は、外科医から麻酔科に転科した立場で、
外科医や手術をする診療科の先生に、
浅い経験ながら、「これしてほしいなー」と感じることが最近あったので、
ここに残しておこうと思います。

一般の方や手術をすることがない先生方には
なじみがなくてあまりイメージできないかもしれませんが、
「へーこんな世界があるんだ」くらいで
さらっと手術の実際を知っていただくと面白いかもしれません。

完全に私個人の意見なので、
他の麻酔科医にはまったく求められることはないかもしれませんし、
施設によって制度が違う可能性もあるので、
そこはご理解お願いします笑

麻酔導入時に手術室にいて欲しい

まずは、手術が始まる前の話です。

手術の始まりは、
麻酔科医、手術室看護師が手術室に待機しており、
そこに手術を受ける患者さんが
歩きやストレッチャー、ベッドで入室するところから始まります。

患者さんが手術台に横になったら、
心電図モニターやら血圧計やらSpO2モニターやらを
スタッフがわらわらと駆け寄って装着し、
準備が整ったら、麻酔開始となります。

静脈ルートが入っていない場合はルートをとったり、
硬膜外麻酔をする場合は硬膜外チューブを挿入したり、
次々と手術に向けて、全身麻酔の準備が進んでいきます。

すべての準備が整い、
全身麻酔も完了したら、
いざ、執刀医の出番!
となるわけです。

なので、例えば、
「手術室に患者さんが9時入室」となっていた場合、
執刀医は9時半くらいに手術室に到着しても
手術自体になんら支障はないことが多いんです。

なんですが、
やっぱり患者さんからしたら、
数回しか顔を合わせていない麻酔科医や看護師しかいない状況で
全身麻酔が進められていく。
執刀医の先生や診療科の先生と一度も顔を合わさずに眠っていく。

これってなんだか不安な気がするんですよね。

全身麻酔にかかっている間は何されてるかわかりませんし、
眠っていく瞬間ってやっぱすごく不安が強いんじゃないかと思います。

私の知る限り、
「該当診療科の医師が来ないと麻酔導入を始めません!」
という病院もありました。

患者確認のためにもなりますしね。

私自身、外科医時代には
病棟の患者さんの処置や業務があったり、
救急外来に呼ばれて対応してたりと、
手術室に行くのが遅れることもありましたが、
なるべく患者さんが眠るまでには手術室にいるように努力してました。

どうしても無理なときは別の先生にお願いして
該当診療科の先生が一人はいるようにするなどの
工夫があってもいいかもしれませんね。

手術なんて患者さんにとっては
一生に一度あるかないかの一大イベントなので、
なんとなくこなすのではなく、
いつまでも一件一件真摯に向き合いたいと私自身も思っています。

出血してたら教えて欲しい

これは、開腹手術や開胸手術など、
麻酔科医がどう頑張っても術野を確認できないときの話です。

腹腔鏡手術、胸腔鏡手術では
モニターに術野が映されるため、
術者、助手と同じ目線で
麻酔科医も術野を見ながら手術を確認していくことができます。

ただ、開腹手術や開胸手術などとなると、
小さな術野を見るために、
大の大人の頭が3つ4つひしめくわけです。

そうなると、ただでさえ小さな術野なのに、
麻酔科医がどう頑張って覗いても術野は見えないことが多いです。

録画用に天吊りのビデオカメラを設置している施設もありますが、
集中して術者が前のめりになっているような時間帯は
頭しか映ってないなんてこともよくあります。

麻酔科としては、
「なんか血圧下がってきたな」と思っていたところ、
術者と助手が、
「出血がなかなか止まらんなあ」
と話しているのが聞こえてきて、
そこで初めて出血していることに気付くこともあります。

小さな出血くらいなら何てことないんですが、
大血管からの出血や止血に時間がかかりそうな状態であれば
一言「ちょっと出血してまーす」でもいいので教えて欲しいです。

麻酔科医の
薬の準備
輸血の準備
心の準備
にご協力いただけるとありがたいです。

手術終了までの時間を教えて欲しい

これは私が麻酔科医として、
まだまだ未熟だからと言われればそれまでですが、、

消化器外科医の経験があるので、
消化器外科手術に関しては、
手術終了まであとどれくらいかかりそうか
ということがわかるんですが、
他の診療科の手術については正直わかりません。

特に眼科、口腔外科の手術は、
ほんとにいつ終わるかわかりません。

執刀医の、「ありがとうございましたー」
の声で手術が終わったことに気付く
なんてこともあるくらいです。。。

経験を積んでいけば、
ある程度の時間感覚はつくのかもしれませんが、
今から閉創に入るとか、
あと15分くらいで終わりそうとか、
おおざっぱでいいから教えてくれると、
とっっっても助かります。

筋弛緩薬の切るタイミングや
術後や抜管に向けて麻薬の投与タイミングもありますし、
みんなが早く手術室から退室するためにも
少しでもお気遣いいただけると嬉しいです。

まとめ

以上。

今回は麻酔科医として勤務し始めて気付いた、
外科医や手術をする診療科の先生にお願いしたいことを羅列しました。

なんだか愚痴みたいになってしまいましたが、
最後まで読んでくださった外科医の先生方ありがとうございます!

私自身も、こういった要望をしなくてもよくなるように
日々精進していこうと思います♪

麻酔科目線での気付き、
外科医目線での感じることがあれば
また投稿していこうと思います!

ではでは~

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