ここでは麻酔科医の1日を見ていただけたらと思います。
私は麻酔科になって数か月なので、
いくつかの病院を経験すれば、いろいろな働き方を知れると思いますが、
ここでは私が今勤務している病院を軸に説明します。
麻酔科の1日
麻酔科の主な仕事は、「手術中の麻酔管理」です。
私の病院ではまず朝一番に、
その日の手術室で行われる手術のうち、麻酔科が関与する症例を全員で確認します。
それが終わったら麻酔の準備に移ります。
麻酔科医の出番は、患者さんが手術室に入室した瞬間から始まるので、
例えば、患者さんが手術室に9時に入室するとしたら、麻酔科医はそれより前から、
使用する薬の準備
人工呼吸器の始動点検
をしておく必要があります。
そのため、手術の執刀になる診療科よりも手術室にきている時間はずっと早いです。
語弊を恐れずにいうならば、
外科医や執刀する診療科は、
患者さんが手術室に入室して、麻酔科医が麻酔の導入を終えた時点で手術室にいればいいので、
麻酔科医よりも手術室にくる時間はずっと遅くても問題ありません。
※麻酔の導入時から手術室にいるのが礼儀というしきたりもあったりなかったり、、
そして、患者さんが入室したらいよいよ麻酔科医の出番です。
麻酔科医の手術中の立ち振る舞いや全身麻酔についてなどは別の記事で書こうと思います。
手術が終わり、麻酔から患者さんが覚醒し、全身状態が問題なければ手術室から退室することになります。
手術室から病棟や集中治療室までの移動に麻酔科医がついて行ったり、
集中治療室で術後管理をしたり、
など、術後の仕事が多い病院や施設もあるかもしれませんが、
私の病院では、手術室からは主科の先生と病棟の看護師で退室します。
翌日に痛みや吐き気など、全身麻酔の影響がないかなどの術後回診はありますが、
基本的には、麻酔科医が患者さんとかかわるのは、周術期(術前・術中・術後)のみとなります。
術後管理がない麻酔科医の場合、手術が終わって患者さんが手術室を退室した時点で、
その患者さんとの時間は終了です。
1日に何件か手術が入っている場合は、早くも次の患者さんの手術の準備をし、
同じように麻酔をかけていき、すべての手術が終わると、麻酔科医の1日が終わります。
最後に
麻酔科医は、術前外来、疼痛外来などの外来がある施設でない限り、1週間のうちに外来や検査や手術など、1日の流れが大きく変わることは少ないように思います。
(手術の内容によっては麻酔科医の負担は全然変わってきますが、、)
私が麻酔科医になって、外科との違いを強く感じたことは、
「病棟の患者さんを診ることがないこと」です。
これって医者のQOLからしたらけっこう大きなことなんです。
病棟の患者さんを主治医制、チーム制どちらで管理しているかでも大きく違いますが、
病棟に自分が主治医としてみている患者さんがいた場合、
休みの日(特に金曜日手術の翌土曜日)には、やっぱり患者さんの状態が気になって
病院へ足を運ぶことが多かったです。
そういう点では、病棟で主治医として患者さんの管理をする必要がないことで、
休みの日の予定を立てやすく、家庭での時間がとりやすくなったかなと思います。
ここまで読むと、「麻酔科医ってすごい楽じゃん」とか思われそうですが、
決してそういうわけではありません。
全身麻酔中、眠っている患者さんの全身管理を必要とする以上、
誤った判断が文字通り「命取り」になる可能性もありますし、
夜間でも休日でも、全身麻酔の手術が必要な患者さんがいれば、すぐに出動することになります。
どちらがラクか、どちらがすごい、とかそういう話ではなく、
私は、「自分のライフスタイル、やりたいこと、自分に合った働き方」を考えた結果、
外科医から麻酔科医に転向したわけです。
正直、今でも麻酔科医の立場から手術を見ていると、
「あ~手術したいな~」と思うことはしばしばあります。笑
あまりドラマや映画ではスポットライトを浴びることのない「麻酔科医」ですが、
医龍で言うところの阿部サダヲです。
キャラ的には個人的に一番好きです。
ぜひ皆さん、こんな診療科もあるんだと知っておいてください♪
でわでわ~
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