腎機能低下時の薬剤について

本日は腎機能障害のある症例について勉強していこうと思います。

腎機能が低下している症例や透析患者での麻酔において
いつも使っている麻酔薬やオピオイド、筋弛緩薬など
「いつも通りの用法用量で大丈夫なのか?」
と思うことが頻繁にあり、
毎回調べてから投与することになってしまうので、
改めて勉強して知識を定着させていけたらと思います!

では早速見ていきましょう!

非透析患者

吸入麻酔薬

セボフルラン

代謝産物として
腎毒性のあるコンパウンドAを生成する

通常の臨床使用では問題にならないと言われることもある

米国の基準では、

  • 新鮮ガス流量 ≦2L/min → セボフルラン2MAC/hr以下にする
  • 新鮮ガス流量 ≦1L/min → セボフルランは推奨しない
  • 血清クレアチニン値 ≧1.5mg/dL → 安全性の確立なし

とされている

デスフルラン

デスフルランは生体内でほとんど代謝されないため
腎機能に左右されることなく安全に使用しやすい

静脈麻酔薬

プロポフォール

肝臓で代謝されるため、
腎機能低下があっても問題なく使用できる

腎不全では初期投与量は最小限であることが推奨される

ベンゾジアゼピン系

主な薬剤は
ミダゾラム(ドルミカム)
ジアゼパム

これらは肝臓で代謝され、腎臓で排泄される

腎機能低下では、
・臨床効果の増強
・活性代謝産物の蓄積
により効果が遷延する可能性あり

レミマゾラム(アネレム)もベンゾジアゼピン系であり、
代謝産物の排泄が遅延し蓄積することは知られている

代謝産物の薬理活性が極めて小さいため臨床上はあまり問題になりにくいが、
念のため、覚醒遅延には注意が必要

バルビツレート系

主な薬剤は
チオペンタール(ラボナール)

腎機能低下症例では
過度の血圧低下を起こす可能性あり

初期投与量は最小限であることが推奨される

オピオイド

レミフェンタニル

腎不全患者でも薬物動態は変わらないため
用量の調節なしで使用可能

フェンタニル

肝臓で代謝されるため
基本的には用量の調整なしで腎機能低下患者にも問題なく使える

レミフェンタニルよりはやや蓄積のリスクあり

単回投与ならOK、持続投与なら慎重にするべき

モルヒネ

モルヒネの代謝産物(M6G)は
強力な鎮痛・鎮静効果があり
主に腎臓で排泄されるため作用が延長される

非オピオイド

NSAIDs

腎血流量の低下などにより
腎機能の悪化をきたす可能性あり
使用は控える

アセトアミノフェン

腎臓への負担は小さく
NSAIDsよりは安全に使用しやすい

筋弛緩薬・拮抗薬

ロクロニウム

主に肝臓で代謝されて胆汁で排泄される

30〜40%が未変化体として尿中に排泄される
腎機能低下では作用持続時間に影響は少ない

腎不全患者でも「作用持続時間に差がある/ない」のいずれの報告もある

アシドーシスでは作用が増強する

筋弛緩モニタリングでTOFなどを確認しながら
個々の症例で投与量を調節する必要あり

スガマデクス(ブリディオン)

体内ではほとんど代謝されず
24時間以内に尿中に排泄される

筋弛緩薬との包接複合体もほとんどが尿中に排泄される

腎不全でも比較的安全に使用が可能とされている

透析患者

吸入麻酔薬

セボフルラン、デスフルラン

いずれも問題なく使用できる

静脈麻酔薬

プロポフォール

影響なく使える

バルビツレート系

腎不全により作用増強
 → 減量して使用

オピオイド

レミフェンタニル

影響なく使える

フェンタニル

通常量では影響なく使える

モルヒネ

蓄積されるため、使用する際には減量が必要

筋弛緩薬・拮抗薬

ロクロニウム

腎不全症例でもは「作用持続時間が延長する」という報告が多く、
「延長しない」とする報告の中でも
術前の透析による血管内容量の変化が作用持続時間の延長に関係するという報告もある

私個人の考え・体感としては、
「やっぱりロクロニウムの作用時速時間は延長してる気がする」なので、
なるべく使用量を最小限にできるように
筋弛緩モニターを装着して投与量を調整するのがいいと思います。

スガマデクス(ブリディオン)

尿中排泄なので作用は延長する

作用が延長するため再クラーレの報告はあまりないが、
腎排泄されない限り包接複合体として血中に留まるため、
病棟帰室後も筋弛緩の再出現や呼吸状態には十分な注意が必要

体内にスガマデクスが残存している場合、
再度筋弛緩薬を投与しても効果が発現しない問題がある

腎不全患者において体内からスガマデクスを除去するには
high-flux膜で透析除去が可能

まとめ

以上、
腎機能低下や腎不全症例における薬剤について勉強しました。

腎機能障害、腎不全患者に薬を使う上で重要なことを
3点にまとめるなら、

用量は最小限に、作用持続時間は長い
効きやすく蓄積しやすいものと思って
用量は必要最小限に留めておく

モニタリングの徹底
特にロクロニウムやスガマデクスの薬物動態は
腎機能で大きく変化するので
筋弛緩モニターで客観的に評価できるようにする

術中・術後鎮痛の選択
術後鎮痛としてモルヒネ、NSAIDsなどが使いにくいので、
オピオイドの持続投与を少量に留めて使用することや
神経ブロックなどの局所麻酔を併用して多角的鎮痛法を心がける

といった感じでしょうか。

腎機能障害、腎不全症例で困った時は
記事を見て思い出してみてください!

ではでは〜

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