末梢神経ブロック ~下肢~

今回は末梢神経ブロック下肢編です。

ここでは代表的なブロックとして、
大腿神経ブロック
坐骨神経ブロック 膝窩部アプローチ
を学んでいこうと思います。

それでは早速みていきましょう!

大腿神経ブロック

適応

股関節、大腿骨、大腿前部、膝関節、膝蓋骨の手術の麻酔や鎮痛

特徴

・必ず大腿四頭筋麻痺が起きる
 →術後の早期離床やリハビリを遅らせる可能性あり

・早期離床が重要な症例では内転筋管ブロックが推奨

鎮痛範囲

皮膚  … 股関節、大腿前面、膝関節前面、下腿内側、足関節内側

筋肉 … 股関節、大腿前面、膝関節前面

骨 … 大腿骨、膝蓋骨、脛骨近位

局所麻酔薬の使用量

10~20mL

超音波の解剖

大腿神経は鼠径溝のレベルで、
大腿動脈の外側に、
腸骨筋の表面2層の腸骨筋膜で包まれている

手技

鼠径溝にプローブを横断面方向に置く
※股関節の皺に平行ではなく、なるべく大腿に垂直を意識

大腿動脈とその内側の大腿静脈を描出

大腿動脈から大腿深動脈が分岐するのを確認し、
その近位でブロックするようにする

大腿動脈の外側、腸骨筋の前面に位置する大腿神経を確認

外側から内側に向かってブロック針を刺入させ、
腸骨筋を貫いて大腿神経周囲に局所麻酔薬を注入する

大腿神経の周囲に局所麻酔薬が広がり、
ドーナツサインを形成できればOK

難しければ、腸骨筋膜を貫いて
大腿神経の近傍に局所麻酔薬を広げるだけでも鎮痛効果あり

坐骨神経ブロック 膝窩部アプローチ

適応

膝、下腿、足関節、足の手術の麻酔や鎮痛

特徴

・足関節、趾の屈曲、進展がブロックされる
 →下垂足になる

・ハムストリングはブロックされない
 →膝の屈曲は保たれる

伏在神経ブロックと併用すると下腿と足関節を完全に麻酔できる

超音波の解剖

脛骨神経は、膝窩静脈の後方(エコー上は表層)、やや外側

総腓骨神経は、大腿二頭筋腱の前方(深部)

2つの神経を頭側に追っていくと、合流して坐骨神経になる

坐骨神経は、大腿二頭筋長頭の前方(深部)で、
外側の大腿二頭筋短頭と内側の半膜様筋の間に位置する

鎮痛範囲

皮膚  … 膝関節外側、内側面以外の下腿、足関節、足

筋肉 … 下腿全体、足関節、足

骨 … 大腿骨遠位、脛骨、腓骨、足関節、足

局所麻酔薬の使用量

10~20mL

手技

側臥位または仰臥位
仰臥位であれば、膝窩にスペースを作るため、立て膝にする

膝窩皺から2~3cm程度近位で
大腿二頭筋の内側に横断面でプローブを当てる

膝窩動静脈の表層、外側に位置する坐骨神経を
高エコー像として描出する

坐骨神経を頭尾側に追っていき、
脛骨神経と総腓骨神経に分岐することを確認する

坐骨神経が脛骨神経と総腓骨神経に分岐する直前(頭側)に
局所麻酔薬を注入する

☆ちょこっとコツ
プローブ直近から穿刺するよりも、
坐骨神経の深さをエコーで確認し、
その深さからエコーに平行(エコービームに直交)に
穿刺するとブロック針が見えやすい

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は下肢のブロックの代表である
大腿神経ブロック
坐骨神経ブロック 膝窩部アプローチ
を学んでいきました。

今後はもう少し踏み込んで、
内転筋管ブロック
PENGブロック
腸骨筋膜下ブロック
閉鎖神経ブロック
などもまとめていこうと思います。

上肢、体幹も別の記事でやっていく予定なので、
気になる方はそちらも読んでみてください♪

ではでは~

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