外科医の1日

ここでは、外科医の1日を見ていただけたらと思います。

あくまで私が勤務していた病院でのスケジュールなので、同じ診療科でも働き方、仕事内容が違う可能性があることはご承知ください。

外科医の1週間

まずは外科医の1週間を見てみましょう。

外科医の1日は、「手術があるかないか」で大きく違ってきます。

おそらく、毎日は手術をしていない外科医の方が多いと思います。
というのも、病院には手術室の数が限られており、その手術室を他の診療科と予定を調整しながら使用していくわけです。
手術をする診療科は外科に限らず、産婦人科、整形外科、泌尿器科、眼科、耳鼻科など、一般の方からしたら、「その診療科も手術ってするんだ」というような診療科もたくさんあります。

そのため、曜日ごとにどの診療科が手術室を使うかを決めていることが多いです。
例)
月曜日:消化器外科、泌尿器科
火曜日:産婦人科、眼科
水曜日:消化器外科、心臓血管外科
木曜日:整形外科、耳鼻科
金曜日:脳神経外科、整形外科

上記の例に従って説明すると、消化器外科は月曜日と水曜日に手術室を使える枠を持っているので、
その他の曜日は何をするかというと、外来、検査、病棟業務などです。

病棟の患者さんが落ち着いていて、自分の外来がなく、検査も少なければ、
「今日は1日優雅に過ごしちゃおうかな~」
なんて日もたまにあります。

ただし、救急外来や病棟の患者さんで、緊急手術が必要な場合は曜日に関係なく昼夜関係なく手術することにはなります。
そうなっても多くの外科医は嫌な気がしません。

なぜならば、外科医は手術が好きだから。

何も予定がない日に緊急手術が入ることをうれしく思う外科医は少なくないと思います♪笑

外科医の手術日

外科医の1週間がわかっていただけたところで、手術がある日にどのような1日を過ごしているかを見てみましょう。

手術当日の朝、病棟で(もしくは手術室で)点滴をとります(病院によっては看護師さんがとってくれるところもあります)。
早いところだと朝一の手術は8時半から、遅くても9時半に手術室に入室することが多いです。

そこから手術が始まるのですが、消化器外科においては、短い手術だと30分~1時間、長い手術だと10時間近くかかることもあります。
基本的には、手術中に執刀医が変わることはないので、執刀医は手術が開始してから終了までは手術室から出ることはありませんし、トイレ休憩や水飲みタイムなども設けられていません。
(手術に区切りがついた時に、飲水、トイレくらいの時間を設けるときはあります)

私自身も12時間ぶっ通しで執刀したこともありましたが、
ずっと水を飲まないからか、トイレに行きたくなったことはありません笑
医者の不養生とはよくいったものですね、、

短い手術だと、1日に2~3件を続けて行うこともあります。

さて、夕方ごろに長い手術が終わったとしましょう。
外科医がそのまますぐに家に帰れるでしょうか?

そんなこともありません。

術後に患者さんの状態が不安定なことがありますので、
集中治療室で採血の確認(1時間程度)
患者家族に手術の結果を説明(10分程度)
手術内容をカルテに「手術記事」として記録(定型的な手術だとコピペになりますが、10~30分)

なんだかんだで1時間は病院を出れないことがしばしばです。

術後の状態がすこぶる悪い患者さんの場合、病院に泊まって夜通し管理することもあります。

なが~い手術を終えた後でも、それらを誰かが代わってくれるわけではないので、最後の力を振り絞って、、、みたいな感じになります笑
それでも最近は、手術後の集中治療や術後管理は他の診療科が担ってくれて、外科医の術後の負担が軽くなってきている病院もあるみたいです。

そしてまた次の日が訪れる、、、

そんな毎日を送っています。

最後に

外科医の特徴は、手術日とそうではない日で、ON/OFFがあることです。
病院によっては毎日手術があるところもあるので、ずっとONのこともあります。

決して、研修医や医学生に対して「外科医ってこんなにしんどいからやめといた方がいいよ~」とか、
一般の方に「外科医は手術してるだけじゃないんだからもっと敬え」とか言いたいんではないです。

ただただ一外科医の日常を披露しただけです。

何より、外科医を続けている先生は、この生活に何も不満を感じてないでしょうし、
そのしんどさがあっても、手術ってめちゃくちゃ楽しいんです!

人体に直接手を加えて病変そのものを取り除く、
そして手術、術後管理がうまくいって、生死の淵にいた患者さんが元気に退院した時には
言葉では表現できないくらいうれしいです。

「人の身体にメスを入れる」

それが楽しいなんて異常だと感じる方も多いと思いますが、
私も外科医で勤務している時には、手術がめちゃくちゃ楽しいと思っていました。

手術だけしていればいいと思って外科医になってしまうと、
「思ってたのと違うな」と感じることになるかもしれません。

医学生、研修医の方には、いろいろな面から外科医を見ていただき、
そのうえで外科医を志願する人がいれば全力で応援します。

一般の方にも、あまりなじみのない外科医の生活を少しでも知ってもらえたらと思っております。

でわでわ~

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